2022.08.24
鍼灸師的観点からの「しゃっくりの止め方」
「先生、しゃっくりが止まらないんです。今日で三日目で、病院に行っても、もう少し様子を見ましょうって・・・私、今日死ぬんですか?」
「はい!?」
「三日しゃっくりが止まらないと、死ぬって言うじゃないですか?」
彼女のお話をよく伺うとお住まいの地域では、「しゃっくりが三日続くと死亡する」という都市伝説(?)があるそうで、それを信じて病院に行ったけれど相手にされず、あっちこっちとさ迷って最後に鍼灸院にたどり着いたそうです。
*「しゃっくりを100回すると死ぬ」という都市伝説(?)もあるそうです。
この「しゃっくり(吃逆)」とは、胃の上にある横隔膜が異常に痙攣して空気を押し上げ、それに伴い気道の入り口にある声門が素早く開閉する現象を言います。
こちらが横隔膜です。
主な原因には食べすぎ(胃の膨満)、飲酒(昔のコントの酔っぱらいはみんなしてましたね)、辛い物などの刺激物の取りすぎなどが挙げられます。
一般的なしゃっくりの治し方としては、
・水を勢いよく飲む。
・しばらく息を止める。
・びっくりする。
など、いろいろとありますが、必ず改善する訳ではないようです。
さてここでタイトルにもありました、鍼灸師の立場から「しゃっくりの止め方」についてお話ししたいと思います。
しゃっくりは横隔膜の異常けいれんによって起きますが、その横隔膜を制御している神経(横隔神経)は首(頸椎)からもたらされます。
ですので、首や肩が凝ってくるとこの神経が刺激され、しゃっくりになると考えられます。
自分で出来るしゃっくりの止め方としては、
①首の脇から肩周辺を上から下に優しくさする
②肩を3~10秒間すくめて、ストンと力を抜くのを2~3回繰り返す
③肩の上の部分の皮ふを何か所か摘まみ上げてみる、などを試してみて下さい。
*ちなみに先日①だけで、来院された中学生のしゃっくりが落ち着きました。
ここで一つ注意点があります。大変稀ですが脳腫瘍や呼吸器障害などから起こる難治性のしゃっくりもありますので、しゃっくり以外に発熱や手足の運動麻痺などの症状を伴う際にはかかりつけの病院でご相談ください。
冒頭のしゃっくりが三日止まらない女性ですが、肩コリに対する治療を行ったところすぐに止まって、大変安堵されていました。
思わぬところで、彼女からは「命の恩人」だととても感謝されました。